パッケージ実績
マルコ水産有限会社
広島県福山市内海町田島に拠点を構えるマルコ水産有限会社は、海苔養殖からスタートし、現在では牡蠣養殖でも高い評価を得ている水産業者です。豊かな瀬戸内の海を舞台に、季節や環境の変化に応じて最適な育成方法を探りながら、丁寧な手仕事で「本当に美味しい牡蠣」を追求しています。その粘り強い挑戦の結晶として生まれたのが、一年を通して生牡蠣が味わえるブランド「惑香(まどか)」です。
このブランドの魅力とつくり手の思いをより広く伝えるため、ロゴタイプ・リーフレット・スリーブ・梱包テープ、そしてブランドサイトのデザインを担当しました。
ロゴタイプは、「惑わす香り」という名に込められた上質な余韻と、海に漂う香りのような「ゆらぎ」をテーマに制作。筆の流れを思わせるやわらかなカーブで波の動きを表現しつつ、「マドモワゼル」という語感の持つ女性的で洗練された印象を重ねています。線の太細のコントラストには、はえ縄式と杭打ち式という二つの育成法の「力強さと繊細さ」を象徴的に込めました。
リーフレットは、商品と生産地の関係性を伝えることを主眼に設計。表面には「惑香」ロゴと田島の海を大胆にあしらい、開くとポスターとしても活用できるデザインに。裏面では第三者の視点で生産者の声を記事風に構成し、読み進めることでブランドストーリーを自然に理解できる仕立てとしています。下層には田島周辺の海の情景をイラストタッチで描き、どこからこの牡蠣が届くのかを視覚的に伝えました。
スリーブデザインでは、白と黒のコントラストを基調に、潔くインパクトのある構成を採用。波打つシルエットで牡蠣の殻や海のうねりを表現し、そこに青いモチーフを散らすことで、田島の海に漂う潮と香りを感じさせるデザインとしました。これは、時間をかけて豊かに育つ「惑香」そのものを象徴する意匠でもあります。梱包テープは、ロゴや文字の配置にリズムを持たせ、シンプルながらも動きと表情を感じられる仕上がりとしました。
さらに、ビジュアルブランディングを一貫して行う流れで、ブランドサイトの制作も担当。リーフレットで掲載した写真やインタビューをもとに構成し、ブランドの世界観をオンラインでも深く体感できる設計としました。トップビューでは田島の海の写真を全面に配置し、ページ全体を通じて“海の香りが漂うようなデザイン”を意識。読み込むほどに「惑香」の背景や職人の想いが伝わる、静かなストーリーテリングの場としています。
「惑うほどに香り立つ」という名のとおり、田島の海と職人の情熱が一体となって生まれた「惑香」。その美味しさの背景にある、静かで力強い物語を、デザインと言葉の両面から可視化しました。
《「惑香」ブランドサイト》
https://www.maruko526.jp/user_data/madoka_lp