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グラフィック実績

テンパールスイッチからはじまる、技術と信頼の軌跡。 70年の歩みを紡ぐ、周年誌の記録。

70周年記念誌

テンパール工業株式会社

広島市南区に本社を構えるテンパール工業株式会社は、配線用遮断器、漏電遮断器、住宅用分電盤の設計・開発・製造・販売を手がける電気機器メーカーです。1953年の創業以来、家庭や産業を問わず「電気の安全」を守り続けてきました。その社名は、創業のきっかけとなった「テンパールスイッチ」に由来し、70年の歩みはまさに製品と技術の進化の歴史でもあります。今回、70周年という節目を迎えるにあたり、周年誌の企画・編集・デザイン・印刷・製本を担当しました。記録として残すだけでなく、創業の原点と未来への姿勢を伝える「企業の記憶」としての1冊を目指しました。

表紙デザインでは、直線的な社名ロゴをオマージュしたシャープな書体を採用し、現代的な繊細さと力強さを両立。白と赤の比率を「3:7」とすることで、これまでの70年と、これから築く未来への意志を象徴しています。さらに、ロゴに用いられる円をモチーフに7本の光を重ね、虹色に交わるグラフィックで「光とつながり」を表現しました。

本文は、70年の歴史を10年ごとに整理した年表を中心に構成。特に直近30年は主要なトピックスを追加し、読み応えのある内容としました。長編の歴史ページで単調にならないよう、年代ごとに重めの配色と白地を交互に配し、書体や段組みにも可読性を重視した設計を施しています。

特集コンテンツとしては、海外展開の転機となった「ベトナム進出手記」を掲載。当時の現地担当者による寄稿文をまとめ、国旗カラーを基調にノート風のテクスチャで人間味のあるページデザインに仕上げました。また、歴代OBによる座談会では、創業期からの貴重なエピソードをできる限り残すために全12ページを割き、温度感のある語りをそのまま誌面に。扉にはアナログフィルムのフレアをイメージした光のグラデーションをあしらい、記憶がよみがえるような雰囲気を演出しています。

さらに「製品開発70年の歩み」では、主要製品を年代ごとに撮影・図表化し、試行錯誤の積み重ねを一本のリボンのように可視化。色のグラデーションを歴史年表と連動させ、企業の成長と技術の進化を一続きの流れとして描き出しました。

長い歴史の中で受け継がれてきた技術と志を、未来へつなぐための周年誌。
テンパール工業70年の軌跡を、電気と人をつなぐ「光の記録」としてまとめた一冊です。

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